みんなの脳世界2025~超多様~開催レポート
2026年1月28日
2025年11月2日(土)・3日(日)、東京ポートシティ竹芝にて「みんなの脳世界2025~超多様~」展示を開催しました。
昨年の55展示からさらにスケールアップし、今年は日本全国の産官学から77の体験型展示ブースが集結。
「ちょっと先のおもしろい未来(ちょもろー)」との同時開催もあり、2日間で約3万人の方にご来場いただき、大盛況のうちに終了しました。


日本を代表する大学・研究所・企業による77の展示が一堂に集結
「みんなの脳世界2025〜超多様〜」では、産官学の多様なメンバーが連携し、過去最大規模となる計77件の体験型展示ブースが出展されました。子どもから大人まで幅広い層の方々にご来場いただき、各展示を体験いただきました。
本展示では、私たちがそれぞれ生きている世界を「脳世界」と呼びます。「脳世界」は、「個人」と「環境」の相互作用によって構成されているという考えのもと、昨年同様、展示を5つのエリアに区分けしました。来場者の皆さまには各エリアを巡っていただくことで、ニューロダイバーシティへの理解を自然に深められるようにしました。

多様な世界
入り口には「多様な世界」エリアがあります。ここでは、私たちが世界をどのように捉えているかをひも解きながら、「同じものを見ても、人によって見え方や感じ方が異なる」という多様性に触れていきます。
一人ひとりの脳は多様であり、その違いがそれぞれ異なる見方や感じ方を生み出します。本エリアでは、見方を変えると別のものに見える感覚の不思議を体験できる展示をはじめ、触覚の錯覚を体験する展示、VRを通して普段とは異なる状況を疑似体験できる展示、コミュニケーションや判断の“当たり前”を見直す体験、文字の見え方の違い(ディスレクシア)を体感できる展示など、いつもの自分とは異なる多様な世界に触れられる展示が並びました。
また、VR体験なども取り入れながら、自分とは異なる視点を身近に感じられる合計17の展示を行いました。




- 違いを体験しよう!見え方の多様性(B Lab)
- 多感覚情動推定システム(東京大学認知発達ロボティクス研究室)
- ラベルをこえて見えてくる日常 ― 交差性の視点から(実践女子大学ジェンダード・ソーシャルイノベーション研究所&標葉研究室)
- VRで赤ちゃんの寝かしつけ体験!(東京科学大学 中谷研究室 みらいリビングラボ)
- 自信たっぷり?慎重派?あなたの判断スタイルを見える化!(NTT人間情報研究所)
- どっちを選ぶ?選び方の傾向を知ろう(浜松医科大学子どものこころの発達研究センター・一橋大学 SABB Lab)
- レインボーな日常、ちょっとのぞいてみる?」- LGBTQ+コミュニティの“困りごと”と“生き方”を可視化するインタラクティブ展示(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Embodied Media project)
- 今、自分に見えている世界の外側に気づく Diversity Warming-Up Tool [β-version] (株式会社コンセント)
- 文字の世界をカスタマイズ!ディスレクシア体験(ディスレクシアの社会モデルデザインプロジェクト)
- VR ポータブル・サイレントルーム(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Embodied Media project)
- 普通なんて幻想-人それぞれのコミュニケーション-(JST未来社会創造事業 個人に最適化された社会の実現領域「ニューロダイバーシティ環境下でのコミュニケーション双方向支援」)
- 高校生が考えたすごろくで認知症への理解を広げる!(神奈川県立横須賀高校、NTT人間情報研究所)
- 「脳が長持ちする会話」で認知症にならない社会の実現を目指す(理化学研究所)
- クリエイティブVR:感情的・社会的コミュニケーションのためのセラピスト指導型アートプラットフォーム(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Embodied Media project)
- 「こんなにも違った触りごごち?」錯視(さくし)の不思議を体験しよう(B Lab)
- 「こんなにも違って見えるの?」錯触(さくしょく)の不思議を体験しよう(B Lab)
- みんなの脳世界 フォトスポット(B Lab)
多彩な五感
次のエリアは「多彩な五感」エリアです。
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚。私たちは日々さまざまな感覚を通して世界を捉えていますが、その感じ方は一人ひとり異なります。本エリアでは、他の人の感覚や認知のしかたを疑似体験したり、自分自身の感覚に目を向けたりすることを通して、感覚の多様性に気づき、互いの違いを尊重しながらつながりを深めるきっかけとなる展示を行いました。
展示では、ASDの感覚特性を体験できるシミュレーターや、触覚の特徴を測る「触力検査」、触覚や味覚にまつわる体験展示、触覚と香りを組み合わせたコンテンツなど、五感の不思議さを楽しみながら学べる展示を多数紹介しました。さらに、視覚障害者と晴眼者の身体動作を翻訳するロボットや、VRを通して他者の感じ方・認知の違いに触れられる展示など、テクノロジーを活用した体験も紹介しました。
合計18の展示を通して、来場者の皆さまには「五感の多様性」を体験的に学び、理解を深めていただきました。




- 音の感じ方から考える、多様な世界(BLab/協力:感覚過敏研究所)
- 身体感覚を磨こう!秋のまっくら大運動会(ダイアログ・ダイバーシティ・ミュージアム「対話の森」)
- 触覚と香りで体感する3次元コンテンツ(NHK放送技術研究所)
- おばあちゃんと一緒(東京工芸大学・人間共生システム研究室)
- 「温もり」ある触感伝送(奈良女子大学 佐藤研究室)
- 甘い形と苦い形 ー風味の視覚化ー(立命館大学 多感覚・認知デザイン研究室)
- 生理痛VR体験(奈良女子大学 佐藤研究室)
- 触力検査(B Lab / 名古屋工業大学ハプティクス研究室 / 稲盛科学研究機構 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Embodied Media Project)
- 面接シミュレーション(東京工芸大学・人間共生システム研究室)
- しょっかんテック ~ 食感/触感を変える(大阪大学 人間支援工学領域(井野・吉元研究室))
- 空間情報操作による他者体験VR 〜半側空間無視・認知症の記憶障害〜(関西学院大学 井村研究室)
- 見えない匂いを探す匂い追跡ドローン(信州大学照月研究室 / 生命駆動型共創ロボティクス研究拠点)
- 視覚障害者と晴眼者の身体動作を翻訳するロボット(東京大学 葛岡・鳴海・谷川研究室)
- ドキドキが動く!抱きしめデバイス(WiTH PAiN)
- 痛みがみえる!ペインカードWS(WiTH PAiN)
- ASD知覚体験シミュレーター(東京大学認知発達ロボティクス研究室)
- 触るって、人それぞれ(名古屋工業大学)
- 脳を欺す香りと体感のVR技術(立命館大学・名城大学)
個の拡張
個人の感覚の多様性に触れた後は、テクノロジーの力で一人ひとりの「できること」や可能性が広がっていくことを体験できる「個の拡張」エリアがあります。私たちは、見て聞いて触ることで世界とつながっていますが、古くはメガネのような道具から最新の脳波解析技術まで、さまざまなツールが私たちの力を補完し、ときに拡張してくれます。
本エリアでは、脳波解析などの技術を活用した展示をはじめ、触って理解する「さわる地図」の世界、脳が共鳴する表情増幅アバターなど、テクノロジーによって世界とのつながり方が広がる展示を展開しました。また、VR体験を通じて「できる」という感覚を後押しする体験や、コミュニケーションの難しさを身体の動きから捉える展示などもあり、未来の暮らしを身近に感じられる内容となりました。
合計10の展示を通して、来場者の皆さまに「個の拡張」がひらく新しい可能性を体感いただきました。




- 個人の拡張ってどういうこと?(B Lab)
- ホログラフィを体験してみよう(株式会社KDDI総合研究所)
- スパコンで脳のデジタルコピーを作る(電気通信大学)
- さわる地図の世界 (新潟大学 工学部 渡辺研究室)
- いつも見ている世界に、もうひとつの世界をひろげよう!(国立研究開発法人情報通信研究機構 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター)
- 脳が共鳴する表情増幅アバター(明治大学)
- 「これならきっとできる!」の気持ちを後押しするVR体験システム(玉川大学 脳科学研究所)
- ミラーリングエージェント(東京大学先端科学技術研究センター 稲見・門内研究室)
- 目は口ほどに心の理解につながるのか?(早稲田大学人間科学学術院 発達臨床心理学研究室)
- 広場恐怖症を対象としたVR 対症療法(東京大学先端科学技術研究センター 稲見・門内研究室)
環境の調整
「環境の調整」エリアでは、物理的な環境に加え、社会的制度やルール・慣習、人間関係などを適切に調整することで、当たり前だと思っていたことが変わり、生きづらさの解消や、より快適で豊かな生活につながる可能性があることを紹介しました。
展示では、環境の変化が人に与える影響を体感できる展示をはじめ、静電気を使って触り心地を生み出す触覚キャンバス、点字墨字翻訳アプリなどの支援技術、子どもを見守る仕組み、AI対話ロボット、コミュニケーション支援のための音声・感情認識、困りごとへのアイデアを提示するチャットボットなど、合計13の展示を行いました。




- 環境によって変わるってどういうこと?(B Lab)
- 信号機が赤・青じゃなかったら?(B Lab)
- 触覚のキャンバス:白い紙の上に、静電気で触り心地を作ってみよう(筑波大学、川口電機製作所)
- どこでも学べるEuLa通信制中等部(EuLa通信制中等部)
- 点字墨字翻訳アプリ(長野高専 AT&D Lab.)
- 点字タイピング練習機器(長野高専 AT&D Lab.)
- 脳にリズムを届けよう!病気を治す「リズム」の力(明治大学理工学部 健康医工学研究室)
- こどもを見守る目と手をふやす「YOSS」(大阪公立大学山野則子研究室 / 一般社団法人こども未来社会研究所)
- あなたの困りごとへのアイディアを知るチャットボット「ダボット」(筑波大学ダボットプロジェクト)
- ニューロダイバーシティ研修・困りごとカード(B Lab)
- 「いいね体験」を共有するAI対話ロボット(大阪工業大学 廣井研究室 / 東北大学 伊藤・能勢研究室)
- Inkjet 4D Print(Programmable Products Lab)
- コミュニケーション支援のための音声・感情認識(立命館大学 音声言語研究室)
社会の創造
最後は、これまでの展示を通じて体験し学んだことを踏まえ、「どのような発見があったか」「ニューロダイバーシティ社会の実現に向けて何ができるか」という問いを改めて考えるきっかけを提供する「社会の創造(社会をつくる)」エリアです。
同じ世界に住んでいても、となりのあの人は自分とはまったく異なる感じ方や考え方(脳世界)を生きているかもしれません。本エリアでは、来場者の皆さまがこれまでの体験を振り返りながら、ニューロダイバーシティ社会の実現に向けて何ができるかを考える展示を行いました。
展示では、見えなくても楽しめるインクルーシブゲーム体験や、見つけやすく・しゃべる点字ブロック、困りごとを分かりやすい言葉に置き換える「こまりごと翻訳」、環境や感じたことを共有するマップづくりなど、誰もが暮らしやすい社会を考えるための展示が揃いました。合計19の展示を通して、ニューロダイバーシティ社会に向けて一人ひとりができることを考える場となりました。




- 見るから、つくるへ!新しい働き方を創造するクリエイティブツール「MAFA gumi」(株式会社 電通総研)
- 肩乗りOriHime(株式会社オリィ研究所)
- 見えていても見えなくても楽しめる!インクルーシブゲーム体験(国立大学法人筑波技術大学)
- 見つけやすい、しゃべる点字ブロック(金沢工業大学)
- スピリットオーバーフロー(超人スポーツプロジェクト / AXEREAL株式会社)
- 目にやさしいmahoraノート(大栗紙工株式会社)
- ハッカク(超人スポーツプロジェクト / AXEREAL株式会社)
- 困りごと翻訳(B Lab)
- スライドリフト(超人スポーツプロジェクト / AXEREAL株式会社)
- Ping x Phone: スマートフォンを用いた卓球デザインの多様化(愛知工業大学 行動情報科学研究室)
- ニューロテクノロジーをめぐるELSI(国立研究開発法人情報通信研究機構・脳情報通信融合研究センター(CiNet)/慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD))
- ニューロダイバーシティアワード(B Lab)
- 教えて!君のココロ~デイケン&ゲミワ~
(JST未来社会創造事業 個人に最適化された社会の実現領域「多様な子どもたちの個性とウェルビーイングを支えるデータ活用技術開発」 / エフバイタル株式会社・(公社)子どもの発達科学研究所・浜松医科大学) - 動画に基づく個性の見える化
(JST未来社会創造事業 個人に最適化された社会の実現領域「多様な子どもたちの個性とウェルビーイングを支えるデータ活用技術開発」 / エフバイタル株式会社・(公社)子どもの発達科学研究所・浜松医科大学) - 環境マップ(B Lab/協力:科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)「デジタル身体性経済学の創成」(2023年度終了))
- 身体マップ(B Lab/協力:科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)「デジタル身体性経済学の創成」(2023年度終了))
- みんなでつくれる!「超人スポーツDIY」(一般社団法人Arc & Beyond、超人スポーツプロジェクト)
- 「わたしの脳世界(制作:チームJSB-G 季里★あかほりこのみ★谷口直嗣)」(B Lab)
- Brain Body Jockey Project: We can Thrive(ちょっと先のおもしろい未来実行委員会、AXEREAL株式会社、一般社団法人WITH ALS、Project Cybernetic being、株式会社オリィ研究所、株式会社電通サイエンスジャム みんなの脳世界(B Lab ニューロダイバーシティプロジェクト))
開催を終えて
私たちはニューロダイバーシティをより多くの方に知っていただくため、2023年より毎年イベントを開催しています。回を重ねるごとに参加者や出展規模も拡大し、今年は全国の産官学から多彩な体験型展示が集まり、より多くの方にご来場いただき、展示を楽しんでいただきました。
来場者からは、「不思議なさわり心地を体験し、脳の感覚を学ぶことができた」「展示を通して、自分に見えている世界が全てではないことが分かった」といった声が寄せられ、体験を通じて多様な感覚や視点に気づくきっかけになったことがうかがえました。
また出展者からは、幅広い来場者に研究や技術を体験してもらえたことや、反応を直接見られたこと、研究者同士の交流・連携につながったことなど、研究を広く伝える場として、またコミュニティ形成の場として有意義だったという感想をいただきました。
最後に、本イベントにご出展くださった皆さま、ご参加いただいた皆さま、ご協力いただいた方々に心より感謝申し上げます。
私たちは今後も、展示や体験プログラムを通じてニューロダイバーシティへの理解を促進し、一人ひとりがそれぞれの場所で個性や「ちから」を発揮できる社会の実現に向けて活動を推進してまいります。

本件のお問い合わせ先:infoアットneuro-diversity.world

